名古屋大学医学部附属病院腎臓内科日記

当教室の後期研修医の日記も随時更新中です。

ISSCRに行ってきたよ5

第5話 三代目加藤とフィンエアと

 第4話あらすじ:ストックホルムに行ったらラーメンを食べよう

 ストックホルムの滞在も最終日である。この日はまずストックホルムにあるカロリンスカ研究所に向かった。カロリンスカ研究所は、実は滞在するホテルから徒歩圏内にある。ただ、近くからバスも出ているので、それに乗る一行。ほどなくして到着すると正面にあるのは病院らしき建物。少し中に入って見学したが、あまりどんどん入って行ける雰囲気でもない。ラボは別のところにありそうだったが、特にアポイントがあるわけでもなく、そのまま帰ることに。
 帰りのバスはセーデルマルム島方面へ向かうバスだったので、そちらへ向かうことに。セーデルマルム島には「三代目加藤」の店があるのだ。ストックホルム通の中にはご存知の方もいらっしゃるかもしれないし、いらっしゃらないかもしれないし、知るわけない気もするが、この「三代目加藤」は寿司屋である。
 ここのご主人は、空手家として世界を回り、最終的にスウェーデンにたどり着き、寿司屋を開いたというエピソードが「地球の歩き方」に書いてあった。なかなか趣き深い。三代目が何を指すのかも不明だし、スウェーデンに空手の世界で一体何があるのかも気になる。このエピソードだけでお腹いっぱいになれそうな深みを持っていると言える(え、そうでもない?)。
 そんな「三代目加藤」の店に出会えると良いな、なんて思ったり、思わなかったりしながら、セーデルマルム島をぶらぶらする三人。ちょっとした高台にあるので、市街地を臨む眺めは素晴らしい。くるくる歩き回った結果、「三代目加藤」の店には出会えず、ガムラスタンへ行くことにした。ちなみに後で振り返ると歩いたコースから「三代目加藤」にあと十数mまで接近していたわけだが、本当にどうでもよい。
 この後、ガムラスタンでコーヒーを飲み、ホテルへ戻ってチェックアウトした。ホテルにタクシーを呼び、アーランド空港に向かう。アーランド空港は来た時のブロンマ空港とは違って、かなり大きな国際空港であった。ここからヘルシンキ行きの飛行機に乗り込む一行。
 帰りの乗り継ぎはシビアであった。ヘルシンキに到着してから次の飛行機の出発までの時間が約45分の予定となっており、かなりタイトなスケジュールになっていた。
 ヘルシンキ行きの飛行機に乗り込む一行。行きで荷物をロストさせたにっくきフィンエアだが、ぜいたくは言っていられない。席はバラバラで坪井先生は前から4列目であったが、その前の席に超が付くくらい有名な方が座っていて、さすがISSCRと言いたくなる。神村君は一番後ろの席で、その横には日本人らしき人が座った。
 そうして乗り込んだものの一向に飛び立つ気配がないまま、時間が過ぎて行く。ただでさえ乗り継ぎがぎりぎりなのに、参ったなと思いながら、神村君はスマートフォンで小説を読み始める。何を隠そう、飛行機内は読書派なのだ(だから?)。
 すると、隣の日本人らしき人が、話しかけて来た。小説で日本人とばれたからだ。
 話してみると、やはりISSCRの参加者で、大阪に向かうという。大阪行きは名古屋行きの10分後くらいとのことだったが、それでも心配そうであった。ネットで次の飛行機を検索したりしているが、どうもこの日は、今から乗り継ぐもの以降の日本行きはない様子。東京、大阪、名古屋行きが同じ時間帯に重なっているようだ。「さすがに待っててくれませんかね」と神村君が言うと、「いや、海外は平気で置いてきますよ。アメリカとかそうでした」と経験豊富さをのぞかせるが、全くもって不吉で、そして、完全に無意味である。飛行機は出発予定時刻を15分すぎても全く動かない。
 自力でどうにかできる範囲を超えているので、小説を読み進める神村君。しばらくすると1人、遅れて飛行機に乗ってきて、そこからまたしばらくして飛行機が動き始めた。離陸したのは次の便が出発する1時間と10分前のこと、約30分遅れの出発であった。
 隣の方は偶然にも同じ間葉系幹細胞を研究されており、しかも腎臓が治療ターゲットとのことであった。意外な接点もあり、機内では間葉系幹細胞の話をして過ごした。神村君のポスターの内容をちょっと覚えておられたりして、震え上がる神村君(ただいま,一部に過剰な表現がございました)。
 ほどなくしてヘルシンキに到着。着陸した時点で次の便の出発予定時刻20分前くらい。着陸したと言っても飛行機から出られるまでに時間がかかるし、一番後ろの席だとなおさらである。ようやく飛行機を出たところで、走り出す。既に坪井先生と金先生の姿はみえない。東京行きのお客様はいませんか、と職員が探していたりして、名古屋行きを探していないことに不安を覚えるが、とにかく走るしかない。出国手続きを終え、再び走ると目的のゲートが見えてくる。ゲートの向こうで坪井先生と金先生が待っていてくれて、安心する神村君。無事に3人とも名古屋行きの飛行機に乗ることができた。
 名古屋までは9時間弱。行きよりも1時間程短い。日本はこれから深夜になろうという時刻なので、機内では寝て過ごすのがベストだが、隣の人が延々映画を見続けたためにチカチカしてほぼ眠れず、日本に着いた。
 中部国際空港に降り立ち、荷物を待つ3人。「神村先生のはまた届かないかもね」なんて冗談を言いながら流れてくる荷物を眺める。同乗者は次々と荷物を手に去って行く。なかなか荷物が流れてこないので、あたりを見ると、係員らしき人が紙のリストを見ながら、乗客に声をかけている。どうやら荷物が届かなかった人のようで、別の方に連れて行かれていた。こちらに声をかける様子はないので、一安心。
 しかし、荷物は流れてこない。今回は神村君のものだけでなく、3人とも、である。
 行きで荷物が届かなかった神村君は既に無我の境地である。宇宙と一体になり、時の流れに身を委ねれば、全ては雑事。帰りの荷物が届かないなどいかほどのことか(行きに比べれば)。でも、届いて欲しいなあ。そんな気分だ。
 全ての荷物が出揃ったが、やはり3人の荷物はない。先ほどのリストを持った係員に声をかけると、荷物が届いていないリストにばっちり3人の名前が載っている。「フィンエアはロストが多いですね」なんて言われても、何の慰めにもならない。できることといえば、二度とフィンエアには乗るまいと誓うことくらいである。
 まあ、できれば、ヘルシンキには行ってみたいけど。
スポンサーサイト

FC2Ad