名古屋大学医学部附属病院腎臓内科日記

当教室の後期研修医の日記も随時更新中です。

ISSCRに行ってきたよ 2

第2話 奇跡と希望と

 第1話あらすじ:ストックホルムに着いたけど、1人、荷物が届かなかったよ

 第1話の内容の無さに改めて愕然とする今日この頃である。皆さんいかがお過ごしか。
 荷物が届かなかった神村君だが、実はちょっとその可能性も考えていて、大事なものは手荷物に積み込んでいた。特に学会発表のポスターを預けるのは危険と考えて、後生大事に抱えていたため、最悪の事態は免れた。
 不幸中の幸いで、空港で簡単なアメニティセットをもらうことができた。フィンエアのロゴが入ったパッケージの中に、LLくらいのシャツ、黒い靴下、ひげ剃り、歯ブラシ、櫛と香水が入っていた。下着がなぜ上だけなのか非常に気になったし、実際問題として困るところだが、どうしようもない。パッケージはやわらかい素材で出来ていて、あとでiPadとかのタブレットのカバーに使えますよと書いてある。だから何だと言いたくなる神村君である。坪井先生に言わせると、これくらいマリメッコの柄にしておいてくれれば、とのことで、全く同感だ。行きの飛行機ではフィンエアのグッズが欲しいなんて思っていた神村君も、今となっては最悪の印象しかない。本当は空港の問題なのかもしれないが、預けたのは航空会社なので、客の立場としては航空会社を恨めしく思うしかない。
 神村君にとってさらに幸運なことが起こる。何と坪井先生がパンツ(新品)を2つ持っていたので、うち1つをくれたのである。統計を取ったことが無いのでわからないが、3人で旅行に行って、任意の2人の中で新品のパンツを2つ持っている人がいて、しかも同性である割合がどれほど低いものか、考えただけでも身震いする思いである。神村君の心に、この出来事が「ストックホルムの奇跡」として刻まれたことを追記しておく(嘘です)。
 ストックホルムは6月とはいえ最高温度で20℃前後。長袖一枚では夜はまだまだ肌寒い。そんなわけで坪井先生はさらにジャケットと電源のアダプタも貸してくれた。アダプタに至っては3つ持ってきたそうで、まるで神村君のロストバゲージを事前に予見していたかのような用意周到さである。五体投地の感謝とはこういう時にするものだと思ったくらい感謝した神村君であるが、さすがにストックホルムでは行き倒れにしか見えないので、心の中でするに留めておいた。そういうのは五体投地とは言わないが。
 結局、スーパーに売っていた携帯用の(派手な)傘を買っただけで出費は済んだ。
 着いた当日はパブで軽食を食べることになった。ここに限らずストックホルムの食事は、どれも味付けが控えめでありながら奥行きのある味でとても美味しかった。
 2日目の午前は観光地を軽く周遊した。特記すべきはノーベル博物館で、ノーベル賞を受賞した人たちについて紹介する博物館であるが、内容の期待値に対し、展示はたったこれだけかとという肩透かしをくらった。もし行かれる予定がある方はよくよく覚悟が必要であると警告しておく。
 そんな周遊中に神村君に嬉しいことが起こる。ロストしたスーツケースは、ネットで簡単ではあるが追跡できるようになっている。そのステータスが、ブロンマ空港に着いた状態に更新されたのである。ちょうど王宮を観光していたところで、中庭で生絞りのオレンジジュースが売られていた。1個1000円もする高価なものであったが、気を良くした神村君はこのオレンジジュースを買って、3人でシェアしたのである。ちなみに生絞りのオレンジジュースは朝のバイキングでも(もちろんただで)飲むことができたし、明らかに高すぎなのだが、それくらい嬉しかった。
 さて、昼の周遊を終えた一行は学会会場に向かった。この日は夜に金先生のポスター発表が控えている。それまでの時間、講演を聞いたり、発表のポスターを見学したりして時間を過ごした。そのポスターには顔写真を載せるように予め学会から指示が出ていた。しかし、見て回るとそれを守っているのは約5割くらい。ポスターのサイズもむちゃくちゃで3分の1くらいはみ出している人がいたりして、みんな自由である。
 金先生の顔写真は中でもちょっと目立っていた。どう見ても自撮りとわかる写真で、おそらくスマートフォンのフロントカメラで撮ったであろう低解像度。それをポスターにしているから画像がかなり荒かった。ポスター印刷の前日の夜中に撮ったとのことで、わずかな悲壮感がにじみ出ていた。深夜に自撮りしている青年男性を想像すると身が引き締まる思いである。
 そんな金先生だが、発表はつつがなく終わった。質問にもきちんと答える金先生の姿は輝いていた。
 バーで食事を終えた後、3人でホテルに戻ったわけだが、未だスーツケースは届いておらず、失意の中、ストックホルムの2日目は終了した。


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